AKB48 / 翼はいらない / 楽曲レビュー
翼が欲しい
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秋元康(作詞) 若田部 誠(作曲)馬場康夫(MV監督)
★★★★★★★★★★ (rating 10/10)
伝統的な作り
サビはいわゆるトニック系のコード進行でI-IIIm7-VIm-IIIm7、安定した印象を与える時に使用される。
多くの人に口ずさんで欲しい、繰り返しカラオケで唄われたい、ポジティブな歌詞で音楽の詳しくない層にもウケたい、といった場面で使われる。
昭和というイメージにぴったり合った楽曲となっている。
ブリッジではマイナー調になるのはフォークソング風で、平成末期にリリースするのはセンスがある。
編曲は乃木坂46の「サヨナラの意味」の編曲で知られる若田部誠によるもので、余計な音を完全に排除されつつボーカル抜きのインストルメンタルでも聴ける低周波数から高周波数域まで網羅した楽器を組み合わせられているし、ミックスがとてもいい。
1972年学生抗議集会
という令和世代には、はい?というイベントからMVがはじまる。
アコースティックギターを抱えた向井地美音が罵声を浴びせられているのだけれど、
これは音楽にはあまり関わってないと思われる時代を体現しただろう馬場監督による意向だと想像している。
あくまで学生運動のパロディーであって本質を捉えようとしたわけでもなく、歌詞も全く関係ないと思っていい。
現代の怒りをパロディするならばもっと不安定なコード進行が用いられたと思うが、フォークという反体制を意識されるジャンルは極めてシンプルな作りが多かった。